人材不足である
世の中を見渡してみれば、どこもかしこも人材不足に嘆く業界ばかりですが、IT業界の人材不足はかなり深刻です。エンジニアの仕事がきついからなのか、人がいないから仕事がきつくなるのかという議論になりそうですが、その他にもっと根本的な理由が隠されているのです。
Web業界の急成長に人材が追いつかない
IT業界の中で急成長したのがWeb業界です。パソコンが家庭に普及したかと思ったら、それを通り越してスマートフォンやタブレットなどの携帯端末が爆発的に普及し、いつでもどこでもインターネットですぐに欲しいサービスとつながることができるようになりました。それに伴ってWebサービスは日々新しいものが誕生し、改良を重ねながら進歩し続けていますが、ニーズに対してそれを影で支えるエンジニアの数が圧倒的に足りていないという背景があります。
このようにWeb業界は活況ですが、今後はIoTやAIなどの技術がより一層求められるようになってくるので、新しい技術を持った人材も含めてますますエンジニアが必要になることは目に見えています。しかし、ただでさえ労働人口が減少している中で人材を確保するのはどこも至難の技なので、現状働いているエンジニアの負担ばかりが増えるという結果になるのです。
エンジニアの高齢化による影響
少子高齢化の影響はエンジニアの世界にも浸透しており、古くから基幹システムを担っていたエンジニアが定年退職によって急速に減少するという傾向が見られます。若手の人材は人気のWeb系に流れることが多く、職種に偏りが出ているのも既存のエンジニアの仕事を増やす原因になっています。社会全体を見れば、高齢者になっても働き続ける人が多くなっていることがわかりますが、IT業界は技術の変化がめまぐるしいので、高齢になればなるほど様々な面で不利な状況に追い込まれて働けなくなるというのが実情です。
IT職に対するイメージダウン
エンジニアの仕事が注目されはじめた頃は、お洒落でかっこいいイメージがありましたが、「エンジニア職はきつい・厳しい・帰れない」と、今やすっかり3Kの仕事というイメージが染み付いてしまったこともあって、そもそも人が業界に近寄りたがらないという致命的な状況があります。
収入面が良ければそれでもエンジニアになりたいと思う人が増えるのかもしれませんが、誰もが納得できるような高条件を提示できる企業はそれほど多くないので、仕事量に対する収入が合わないと感じて離職するエンジニアも多く、業界に対するイメージはますます悪くなるばかりです。中には高報酬を打ち出す大手企業もありますが、その座を手に入れるためには激しい競争を勝ち抜いていけるだけの実力が必要です。